過蓋咬合(ディープバイト)の原因とリスクを歯科医師が解説




こんにちは。
神戸市東灘区の神戸住吉駅前歯科(ママとこどものはいしゃさん神戸住吉)、院長の中村元です。

お子様の噛み合わせの異常には、さまざまなタイプがあります。
今回は、放っておけない過蓋咬合(ディープバイト)として、過蓋咬合の原因とリスクについて解説していきます。



■過蓋咬合とは

過蓋咬合は「かがいこうごう」と読みます。
噛み合わせが深く、下の歯がほとんど見えないような歯並びの状態です。
ディープバイトとも呼ばれています。

上の歯が被さるような状態ですが、状態によっては見た目もあまり気にならないという方もいらっしゃいます。
そのため、矯正をせずに放置されていまうケースも少なくありません。

ですが、過蓋咬合を放置すると将来的に歯に与えるリスクやお口や体に影響が出るリスクがあるので注意が必要です
ここから、過蓋咬合になる原因とリスクについて詳しく見ていきましょう。

■過蓋咬合になる原因

過蓋咬合は、生まれながらの歯並びだけでなく、生まれてからの症状やクセ、習慣などによって引き起こされることや悪化することがあるので注意が必要です。

以下のようなケースでは、過蓋咬合になるリスクが高いです。

奥歯の虫歯

奥歯が酷い虫歯になり、虫歯に侵されて高さが低くなってしまうことや乳歯を抜歯したものの永久歯が生えるからと放置してしまうと、噛み合わせが深くなるリスクが高まります。

上下の顎の発育バランス

上下の顎の発育バランスが悪く、前歯が傾くなどすると過蓋咬合になりやすくなります。

顎の関節の異常

顎の関節の状態になんの異常があり、上下の位置関係のバランスを崩すことで過蓋咬合が起こることがあります。

歯ぎしりや食いしばり

歯ぎしりのクセがある場合や食いしばるケースが多い、食いしばる力が強いなどすると、奥歯が擦れ、高さが低くなって過蓋咬合になるケースも少なくありません。
小さなお子様の場合、あまりないかと思いますが、食いしばることが必要な激しいスポーツなどをさせている場合も気を付けましょう。

また、食いしばりは知らず知らずのうちに起きていることもあるので、歯の奥が痛いなどの症状を訴えた時には、一度歯科医院で確認してもらうことがおすすめです。


■過蓋咬合を放置するリスク
では、過蓋咬合を放置するとどのような影響が出るのでしょうか。
以下のようなリスクが生じるので、矯正など適切な方法で歯並びを直すのがおすすめです。
ワイヤーといった矯正装置を付けるのが嫌というお子様や保護者様もいらっしゃるかもしれません。
ですが、今は見た目ではわからない矯正法もありますので、まずはご相談ください。
早めの対策ほど、リスクを抑えることができます。

歯の欠損

食いしばりが強いので、歯がすり減ったり、割れたり、欠けるリスクが増えます。
そのまま放置することで、歳を重ねると歯を失うリスクもあるので気を付けましょう。

出っ歯になるリスク

下の前歯が上の前歯に食い込むような形になるので、次第に上の前歯が前に押されて出っ歯になるリスクがあります。

上の前歯に負担がかかる

下の前歯が上の前歯に強く当たってしまう状態となり、前歯に負担がかかりやすくなります。
また、下の前歯が上の前歯の裏側の歯茎に当たってしまうことから、歯茎に炎症を起こすリスクも高めるため、気を付けなくてはなりません。

顎関節症の発症リスク

噛み合わせが深いために、下顎の動きが制限されやすくなります。
顎関節に強い負担がかかり、顎関節症のリスクが高まります。
顎関節症とは、いわゆる顎が外れる状態で、痛みが走る場合や外れている間は唾液がダラダラと流れ続けるなど、不快な状態になるので避けたい症状です。

詰め物や被せ物が外れやすくなる

虫歯の治療をして詰め物や被せ物をした場合に、噛み込みが深く歯に強い力がかかってしまうので、詰め物や被せ物が外れやすくなります。
その都度、治療する手間や費用がかかるので注意が必要です。

ガミースマイルになるリスク

下の前歯が見えない状態が気にならないという方もいますが、そのまま放置することで、ガミースマイルになるリスクがあります。
ガミースマイルとは、笑うと歯茎が見える状態のことで、見た目の印象が良くありません。
また、上顎の歯茎が笑った時に見えるだけでなく、上顎の内側の歯肉を下の前歯で傷付けて炎症を起こすリスクもあるので気を付けましょう。


■まとめ

過蓋咬合は、噛み合わせが深い位置にあることから、下顎の前歯が上顎の粘膜に当たって傷付けることや食いしばりによって顎関節症を併発しやすいです。
食いしばりが強いことから歯の擦り減りや割れ、欠けなどのリスクもあり、歯を失うリスクも高まります。

食いしばりの問題は、お子様の集中力や勉強、スポーツなどにも影響を与えかねません。
いろいろな影響が出始める前に相談することが大切です。
矯正の専門家である当院はお問い合わせ・ご相談も受け付けておりますので、お気軽にご連絡ください。


神戸市東灘区の歯科医院(歯医者)の神戸住吉駅前歯科では、むし歯(虫歯)治療や歯周病はもちろん、虫歯予防、小児歯科、小児矯正、矯正歯科、審美歯科など最新の治療にも対応しています。全チェア個室・徹底した滅菌、感染対策など家族で安心して通って頂けますので、歯の悩みはお気軽にご相談ください。
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▼記事監修
神戸住吉駅前歯科
ママとこどものはいしゃさん神戸住吉
院長 中村元(なかむら はじめ)
公益社団法人 日本口腔外科学会 口腔外科認定医
https://mamatokodomo-sumiyoshi.com/staff/

経歴
朝日大学歯学部 歯学科 卒業
国立大学法人 琉球大学医学部附属病院歯科医口腔外科 勤務
国立大学法人 琉球大学医学部附属病院 麻酔科研修
北大東村立 歯科診療所 医院長(学校歯科医師兼任)
社会医療法人 かりゆし会 ハートライフ病院口腔ケア科 勤務
医療法人真心会 神戸住吉駅前歯科 院長

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